歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

キャッツ・アイ

友だちが 気の弱いマサミに キーホルダーをプレゼントしてくれました。 「これは キャッツ・アイという石でね。 決断と力を持つんだってよ」 「わあ うれしい。 ありがとう!」 マサミは さっそく 自分の携帯に付けました。 友だちの家で 長いこと話してから…

不可解な会話

マチコが「シロクマっておいしいね~」と言った。 「え? 食ったことあるの?」と たま。 クミコが「あれって、かゆいのよね~」 「シロクマ食うとかゆくなるけどおいしいの?」 と たま。 おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい それでも会話は続くよ おち…

言い張らない

言い張るときって 自己防衛であったり 自分を正当化して 他人をコントロールしたい という思いであったりするんだな

強くなりたい

空手をやっていた頃、 道場を出て 駐車場に向かう途中、 私は 見知らぬ人に 呼び止められました。 「 空手をしたら強くなりますか? 」 え? と いきなりの問いに戸惑っていると、 その人はさらに 畳み掛けるように聞きました。 「 あなたのように 小柄な 女…

一人芝居

マサオは 学園祭の 大道具作りで 腕にケガをしました。 一所懸命 頑張ってる証のようで、 誰かに見せたくて 仕方ありません。 ちょうど 台本の件で カツヨが話しかけてきました。 マサオは さりげなく 傷ついた方を カツヨに 向けたりしました。 『 あら、 …

時計をはずす

ヤスヒコさんは バリバリの保険マンですが、 腕時計をしていません。 それでも、待ち合わせの時間には ピッタリ来ます。 休日には 気が向けば 一人で 雪山に登ってスキーをしたり、 あるいは 気の合う仲間とハワイでゴルフをしたり、 人付き合いにはまったく…

本気

タロウは 親戚の集まりが 好きではありません。 特に わがまま放題の子どもたちには 辟易します。 親たちは 一応叱るのですが それが 何の効果も無いのです。 本気で諫める気が無ければ 言うなよ ! いつも そう思うタロウです。 伝わらないのは 本気じゃな…

思いやりから動く

「カートをちゃんと戻しなさい」 「るっせーな」 このところ 息子とのやり取りが ギクシャクしている ナルミです。 「躾をきちんとしなきゃ 彼が後で困ることになると思うから 言ってやってるのに・・・・・・」と 友だちの シュウに 言いました。 すると 彼…

仕返し

踊りを習っているカナコは 長い三つ編みをしている。 タカシがそれを 自分の机に画鋲で留めた。 気づかないカナコは、先生に指されて 立ち上がろうとしたとたん、ふぎゃ~!!! ガキ大将のタカシに いじめられる子は多い。 この前も、花壇の手入れをしてい…

ただ照らすだけ

ケイコは 内観の指導を受けて 始めてみたものの なかなか うまくいきませんでした。 内観の課題は 「心の自立 依頼心からの脱却」でしたが、 何かにつけて 人をあてにしてきた場面が 次々と浮かんできて 気が咎めるのです。 そんなある日、 アメリカの管制官…

さらに良し

お茶を飲んで くつろいでらっしゃる和尚様に 小僧さんが尋ねました。 「 和尚様。 和尚様はいつも 『 すべて良し。 あるがままで良し 』 と おっしゃいますよね 」 「 そうじゃ 」 「 なら どうして 精進しなければならないのですか? 」 和尚様は 湯飲みを …

受付嬢の笑顔

カラオケしたときに 「42キロカロリー消費しました」 なんて表示が出る機械があるんですね。 ああこりゃ歌好きで運動嫌いの私には ぴったりのスポーツだ! と思い、一人で行ってみる決心をしました。 (決心するほどのことなんです、私にとっては。 実際に…

読書

マチコさんは 雨の日が 好きです 落ち着いて 本が 読めるからです でも 言葉が ハートを貫くから なかなか 読み進む事ができません ページをめくる手を止めて 目を閉じ 心に しみいるのを 待ちます

完璧

作家の条件 書いていること 書き続けていること 画家の条件 描いていること 描き続けていること

言葉のしずく

カスミは 物書きです。 かといって あれこれ 批判するのは 好きではありません。 哲学者は 人生の評論家。 カスミは 人生を ただ ひたすらに 生きる者でありたい と 思っています。 カスミの 心と 世の中に 言葉のしずく が 落ちてきて 波紋が広がる。 ぽた…

足元の花

「彼なら知ってるよ。たいした奴ではないよ」 「ああ、近所に住んでるね。ごく普通の人だよ」 「身内だもの。小さい頃から見てるんだ。 あいつに何ができる」 シズオが 物書きをしていると聞いた人々の反応は 冷ややかなものでした。 実際、小さな本を自費出…

サプリな生活

「え? だって、 問題はないでしょう? 栄養士さんだって何も言わなかったわよ」 三歳児健診の会場。 ユイを抱っこして座っているマユミの前で、 歯科衛生士は いぶかしげに小首を傾け あらためて 問診票とデータに 目を通した。 「なるほど、 数値の上では …

てのひら

バスの乗客は私一人だった。 降りる場所が さだかではなかったので、 左側の一番前の席に座った。 すると、運転手が話しかけてきた。 「ほら、今の時間帯、お客さんいないでしょう?」 から始まって、 効率的なバス運行について蕩々とまくしたてた。 僕が社…

意識転換

ミナコは ものすごく 腹を立てていました。 出戻りの娘が ぐーたらと なにもせず、 亭主も それを ほったらかしで 自分の好きなことばかり。 むかついて飛び出し、 友だちの家へ向かい ハンドルを握りました。 「なによ! あいつら! 私のことを お手伝いか…

曲玉

ツネコは 毎日 なんとなく やる気を失っていました。 夜の寝付きも悪いのです。 友だちに話すと 「一日が充実してないから 良く眠れないのよ」 と言われ、 なるほど と うなずきましたが、 さりとて どうしていいものやら・・・・・・。 その友だちが、 言い…

帰ってきた息子

息子がいなくなった! いったい どこで どうしているのか。 底抜けに明るい、ひょうきんな息子。 あの 屈託のない笑顔が、忽然と消えてしまった! 恐い思いをしてはいないか。ケガをしていないか。 どこぞに押し込められて、苦しんではいないか。 たかが十円…

失うもの

人生の刈取り

ミクはヘルパーの資格を取って、 最近出来たばかりの老人ホームで働く事になり、 立ち上げの備品調達から関わりました。 予算があまり無いとの事で、タオルや小物入れ、 洗面用具などの生活用品を、 百均やディスカウントストアで買ったり、 家から持ち寄っ…

愛する子どもたちへ

私は 病んでいます。 けれど、それは あなた達のせいではありません。 落ち度や 負い目を感じて、 私から目を反らさないでください。 自己防衛が過ぎて、 きつくあたるポーズも 取らなくてよいのです。 私のことで 争う必要もありません。 たいそうな世話は…

赤信号

「赤信号も、いいもんだねぇ」 母が言った。 カツコは、疲れ切っていた。 母の面倒を見ていた姉との諍いで、勢い余って 「私が引き取る」と言ってはみたものの、 テレビを大音響で流し、物忘れもひどくなって、 同じ事を何度もくり返す母に、夫や子どもたち…

自分のペースで

歩きたくなったら歩く 花の香りに誘われたら うずくまる 風のささやきが聞こえたら 走る 寝っ転がって 空の青さに融ける

勘違い

マチコはチェルシーに目が無い。 今日も、電車待ちの僅かな間に あの甘くまろやかな粒を味わいたくて、 キヨスクに走った。 「おばさん! チェルシーください! 早く!」 焦りまくって言うマチコに、 おばさんはニッコリしながらも 急いで手渡してくれた。 …

残り時間

乳ガンの宣告を受けた時、ヤスエは動揺しました。 しかし その揺れが収まった時、心の奥底から えも言われぬ 平安が 広がっていきました。 そして 思ったのです。 「手術が終わって なお 生きながらえることが許されるのなら、 人生の残り時間を 人のために…

人ごとだと思って

健診で引っ掛かり 紹介された大学病院の先生が ミキコに言った。 「癌決定だよ。そっちの先生は 言わなかったの? 近頃は はっきり告知するもんだけどねぇ。 手術 ―― それ以外の選択肢は考えないように」 手術の日程その他は 病院会議で決まり次第 連絡しま…

人生で最も重要な事

胃ガンの手術を 来週に控えた友人が 大学病院から入院手続きの書類をもらってきました。 「えっらい 書く事あるな~」 書類の多さにうんざりしながらも 一マス一マス 丁寧に埋めていったそうです。 ところが 最後の設問を読んで う~んと 考え込んでしまいま…