歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

カンツォーネ

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カルチャースクールの

カンツォーネクラスに通いだしてから、

10年以上が経ちました。

そのクラスが始まった時からの受講生です。

 

そもそも、そんな大それたクラスに入ろうと

決意できたのは、みんな初めての人たちだから、

それまでの経験は様々だとしても、

何とかなるのではないかと思ったからです。

 

私が歌曲に魅入られたのは、中学生の時です。

バリトン歌手のフィッシャー・D・スカウによる

シューベルト菩提樹を聴きました。

私は、歌詞から入る方なので、ドイツ語と日本語の対訳をちゃんと頭に入れて聴きました。

 

深い深いバリトンの声が響き、

憔悴した青年が菩提樹の元を去る情景が拡がって、

私の心の奥底を揺さぶりました。

涙がどっと溢れました。

鳥肌が立つほど感動し、

レコードが擦り切れるまで聴きました。

 

私はその当時 剣道部に所属していましたが、

道場の上の階では合唱部が歌っていました。

それを聴いて、私も

「歌いたい!」と強く思うようになり、

高校進学と同時に合唱部に入りました。

 

その頃は、フォークソングの全盛期で、

私は中学の頃から見よう見まねで覚えたギターで

弾き語りをよくしていました。

話し声が低めなので、

得意なのはイルカさんや加藤登紀子さん、

中島みゆきさんなどでした。

それで、合唱部でもアルトになったのですが、

全然思うように歌えません。

 

そもそも、フォークソングと合唱とでは、

声の出し方もまったく違います。

カラオケなんかに行くと

「合唱歌いするな、調子狂う」と、

友だちに嫌がられました。

その「合唱歌い」と「フォークソング歌い」

に引き裂かれ、

私はどんどん自信を失っていきました。

 

それから長いなが~い年月が流れ、

カルチャースクールで

カンツォーネクラス」の募集を目にした時、

私が「本当に歌いたかったもの」の記憶が蘇りました。

 

先生はイタリア留学もなさった、若くて美しい方です。

カンツォーネに限らず、

外国の歌曲を学ぶクラスでした。

みな、私と同じように 

原語をドキドキしながら

先生の後についてリピートしています。

声も小さく消え入るようでした。

 

90分週一クラスで、

3~4週目の頃だったでしょうか、先生が

一人一人声のチェックをしてくださいました。

私の番になり、めちゃくちゃ緊張しながら声を出すと、

「たまさんは、ソプラノですね。 私より高いかも。

 レッジェーロかな」と言われました。

 

ええ~!! 

 

自分が、ソプラノ!? 

あの、合唱部で憧れの ソプラノ!?

 

天地がひっくり返るほどの驚きでした。

 

あれから十余年、

最初は蚊の鳴くような声で歌っていましたが、

今では高音域の歌は難なく出せるようになりました。

むしろ、低音域が苦手で練習しています。

フィッシャー・D・スカウのドイツリートは低音なので、上げて歌ったりもするようになりました。

 

望みがかなって、本当に幸せです。