歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

バイト

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タローが、ネット会社のバイトをすることになった。

街頭に立って、ネット加入を呼びかける仕事だ。

雨の日も風の日も 長時間立ちっぱなしで 

かなりきつい仕事だが、日当はいい。

 

他のバイト連中は すぐに 飽きて 

クーラーの効いた店内で涼んだり 

仲間内で ふざけあったりしていたが、

タローは黙々と 立ちつくしている。 

 

そんなタローだから、さぞかし件数も稼いだろう

と思いきや、日に一度の帰社報告では

いつもこっぴどく叱られる。 

一月近くなろうというのに、

一件も契約が取れてないのだ。

 

不審に思った上司が、仕事ぶりを偵察に来た。

ボーっと突っ立ってるタローに、客を装って近づいた。

「あのー、加入したいんですけど、

どうやって接続すればいいんですか?」

基本的な質問をしてみた。 

タローの答えは簡単だった。

 

「わかりません。 ほかで聞いてください」

その日のうちに、クビになった。

 

後で、バイト仲間がタローに聞いた。

「おまえ、あんだけ立ってて、きつくなかったんか?」

「あっちこっち行くのは めんどくさい」とタロー。

「あんなに怒られて、やめたいと思わなかったんか?」

ものぐさタローは答えた。

「五分怒鳴られて 一万円は おいしい」

 

 

おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい

ちゃんと 働かんかい! おちゃらかほい