ウインナーコーヒー
ツネミのお母さんが 田舎から やってきた。
ツネミの仕事が終わるまで、ココーヨーカドー
一階の喫茶店で待つことにした。
メニューをしばらく見ていたイネは、
ウエイトレスにこう聞いた。
「ネスカフェは ないの?」
ウエイトレスは吹き出しそうなのを危うく押さえて
「いえ。ございません」と答えた。
「こ~んな立派な店構えで ネスカフェも なかとね」
と、ここはツネミの母ちゃん、
都会もんに 負けてはいない。
「しかたない。ウインナーコーヒーでよか」
「はい」
と承(うけたまわ)っていったウエイトレスは、
しばらくすると薫り高き
ウインナーコーヒーを運んできた。
「なんね? この泡は。
それに、ウインナーはどうした?」
「え? コーヒーのご注文でしたよね。これは――」
ウエイトレスが難儀な説明をしかけた時、
ツネミが現れた。
「お母ちゃん、どうしたっと?」
「いや、注文したソーセージがこんとよ」
ウエイトレスは ツネミの顔を見て
ほっとしたように言った。
「ウインナーコーヒーのご注文でしたので・・・」
ツネミは 時計を見ながら 言った。
「子どもを迎えに行かなきゃなんないの。
急いで! ケチャップと芥子をたっぷりね」
おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい
オメーも知らんのかい! おちゃらかほい
ちなみに、フランスではメニューにネスカフェが載っている所もあるそうです。