適性
いつまでも定職に就かず
ふらふらしている息子を案じて
ものぐさタローの母親が
牧師を自宅に招いた。
蕩々と並べ立てる 母親の愚痴を 一通り聞き終わり
ものぐさタローと二人きりになった時
ほっと一息ついたのは 牧師の方だった。
やがて ウンともスンとも言わないタローに
身勝手な相談事を持ちかける信者の悪口を言い始めた。
そして 家族の苦労が絶えない と うるうるし
自分が今まで どれだけ教会に貢献してきたか
という自慢話になった。
思う存分話し 一人悦に入った牧師は
すこぶる上機嫌で タローに言った。
「いや~ こんなに気持ちの良い話し合いは
初めてです。 タローさん あなたとは
分かり合える気がする。 心の通じる人と
会うのはめったにないことです」
そして 帰りしな 母親に 太鼓判を押した。
「お母さん。 タローさんは 素晴らしい!
きっと 良い仕事が見つかりますよ。
優しくて 忍耐強くて・・・・・・
カウンセラーなんか 向いてるかもしれませんね」
おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい
あたしゃ なんにも言っとらんで ほい♪