歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

ヒトが人間になる

さくら・さくらんぼ保育園を訪れた人は、

ある人は「ここにエミールが生きている」といい、

ある人は「シュタイナー教育とそっくりだ」ともいい、

ある人は「窓ぎわのトットちゃんの小学校のようだ」

といい、ある人は こうもいった。

 

「マカレンコの”愛と規律の教育”をみるおもいがする」と。 また、ある中年の男性は

「なつかしいなあ! 昔の”がき”といわれた

子どもたちがいた」とよろこんだ。 そう。 

 

鼻が出ても意に介さず、夢中になって土を掘り、

虫をつかまえ、かえるを追う子ども。

 

少々のひび割れ、霜やけも苦にせず、

遊びに何やら熱中する子ども。

焼けたたらこのような赤いほほの1,2歳の子。

 

衣服は寒ければ着て、

あつければぬぐというだけのもの。

素足で走りまわる子ども。

 

世間に疲れた大人たちがまことにうらやむ

子どもの世界がここにはある。

 

斎藤公子著 

「さくら・さくらんぼの保育とはーーまえがき」より

 

 

娘にはアトピー性皮膚炎があり 

通っていた幼稚園には馴染めず

チック症状を起こしてもいました。 

 

さて これからどうしようかと悩んでいた時 

図書館で見つけたこの本に魅入られました。

 

土まみれの薄汚い服を着て 

鼻を垂れている子どもたち。 

でも その眼差しの輝きったら!! 

そして 引き締まった身体!

 

さっそく 公開保育の見学を申し込んで行きました。

子どもたちは嬉々として家事や動物の世話 

畑仕事などの労働をし 

弾けるようなリズム運動をしたかと思えば 

読み聞かせが始まるやいなや 

水を打ったような静けさが訪れました。

 

公開保育の後 子どもの状況を説明し 

相談したところ 斎藤先生に

「引っ越して来な」と言われました。

 

二か月後 娘はこの保育園にいました。

夫は片道車で2時間かけて 職場へ通いました。