歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

森光子さん

先日「後悔しない」という記事をUPしましたが 

実は 一つだけ 後悔していることがあります。

2017回も演じられた森光子さんの

「放浪記」を一度も観に行かなかったことです。

 

カーテンコールで森は、

長い時間をかけて観客全員に手を差し伸べて、

感謝の思いを伝えた。

森が80歳を過ぎて始めた演出だ。

 

「何とも言えず、涙が出そうでした。

隅々のお客様にまで伝わるように、ずーっと。

幕がおりて、ほっとされて、

一番疲れていらっしゃるときですよね。

でもそうほっとしてもいられない、

それをやらねばならない。 主役の辛さですよね。

導いてくださったお客様を大事にするということ」

 

久しぶりに森の楽屋を訪ねた。

「森さんはあの頃、

あまりお元気じゃなかったんですけども、

すっと振り向かれて

『ああ、しばらくね、あっこちゃん』と仰いました」。「『カーテンコールまで大変でいらっしゃいますね』

とお伝えすると

『でもね。お客様があれがいいっていうから、

私続けてるのよ』と。それは忘れません」

浜(木綿子)の言葉の通り、

森は演劇や観客への愛と情熱、犠牲感を抱きながら、

90歳まで座長を務め、そして燃え尽きていった。

 

森さんの

「天国の父ちゃんこんにちわ」が大好きでした。

行商の自転車を押しながら

「こんちわ~、パンツ屋です~!」の元気な声が

今でも耳に残ります。