歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

すごいエネルギーだなぁ

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娘の家囲いの修理を依頼されて、モトムさんは 

はるばる他県から泊りがけでやって来ました。

 

一仕事終えて くつろいでいると、

息子のお嫁さんから

小包のお礼の電話がかかってきました。

モトムさんは

「今、マユミの家に来てるんだ」と言いました。

しばらく話して電話を切った後、

マユミさんが不満を口にしました。 

 

「だいぶ前に贈り物をしたのに、

私にはお礼の電話もない」

 

そう、言った矢先、再び電話がありました。

 

「そういえば、以前マユミさんから

素敵なオセロ盤を頂いたんですけど、

お礼をまだしていませんでした」

 

その言葉を聞いて 

モトムさんは「かわるね」と

マユミさんに電話を渡しました。

 

「ありがとうございました」「いえいえ」

という通り一遍の挨拶を交わして、

電話は切れました。

 

マユミさんが 弟のお嫁さんの声を聞くのは、

ある事でもめて以来、6年ぶりでした。

そのことを言うと、

モトムさんはあきれたように言いました。

 

「すごいエネルギーだなぁ。6年も思い続けるなんて。

俺なんか、嫌なことはサッサと忘れちゃうけどな。

覚えていられないんだ。もったいないよ、その時間」