歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

究極の開き直り

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トメは そろそろ見えてきた 自分の行く先が 

案じられてなりませんでした。

 

「 ゆくゆくは 病院にお世話になって 

  それから・・・・・・

  誰も看取る人がいなかったら どうしよう 」

と考えては、 

もっと 子孫に尽くしておかねば だの、 

お金をあげようか だのと 

思い巡らしていました。

 

一方で トラ次郎は 呑気な物でした。

 

「 そんな 先のことまで 心配せんも・・・ 」

と、 いかにも楽しそうに 鳩に餌をやっています。

 

「 あんた そんなこと言って、 

  もしかしたら あたしが 

  先に逝くことだってあるんだから、

  一人残って 寂しがったって 知りませんよ 」

 

「 そんときゃ そんとき。 

  のたれ死にしたっていいじゃないか 」

 

あってはならないこと! とばかりに 

トメは 少し声を荒げて言いました。

 

「 そんな! みっともない! 」

 

トラ次郎は なおも のんびりと 言い放ちました。

 

「 みっともなくったって いいさ。 

  どうせ 皆 いずれは土に還るんじゃ。

   こっちで一人でも 

  あっちに行きゃ 皆に会える 」