究極の開き直り
トメは そろそろ見えてきた 自分の行く先が
案じられてなりませんでした。
「 ゆくゆくは 病院にお世話になって
それから・・・・・・
誰も看取る人がいなかったら どうしよう 」
と考えては、
もっと 子孫に尽くしておかねば だの、
お金をあげようか だのと
思い巡らしていました。
一方で トラ次郎は 呑気な物でした。
「 そんな 先のことまで 心配せんも・・・ 」
と、 いかにも楽しそうに 鳩に餌をやっています。
「 あんた そんなこと言って、
もしかしたら あたしが
先に逝くことだってあるんだから、
一人残って 寂しがったって 知りませんよ 」
「 そんときゃ そんとき。
のたれ死にしたっていいじゃないか 」
あってはならないこと! とばかりに
トメは 少し声を荒げて言いました。
「 そんな! みっともない! 」
トラ次郎は なおも のんびりと 言い放ちました。
「 みっともなくったって いいさ。
どうせ 皆 いずれは土に還るんじゃ。
こっちで一人でも
あっちに行きゃ 皆に会える 」