歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

悲しい本

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この絵本に出会った時、

まず、タイトルが嫌だ と思いました。

なぜ、わざわざ 悲しい物語を 

読まなければいけないのか。

 

私は今まで、ずいぶんと 

悲しみや苦しみに馴染んできたから、

もう そろそろ そんな奴らとは 

縁を切ろうと考えています。

 

絵本の主人公は、愛する一人息子を失った男。

1ページに、その男の 笑顔があり、

「悲しく見えると、ひとに好かれないのではないか

思って 幸せそうにしている私」 とあります。

その絵が、哀愁を帯びた笑顔が 実に見事で 

つい 買ってしまったのです。

 

どうしようもない 悲しみがあります。 

拭っても拭っても 拭いきれない涙があります。

時間が経てば 自然に無くなる 

という程度のものじゃない。

 

でも、いつかは、ケリをつけなければなりません。 

嘆き悲しんでいる間に 

失うものの大きさに気づかなくては ―― 。 

 

 

 

「悲しい本」  マイケル・ローゼン 作  

クエンティン・ブレイク 絵 

 谷川俊太郎 訳  あかね書房