歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

命の頂点

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「 めんどくさいな~ 」

 

 言いつけられた お墓の掃除をしながら 

タカエは ぼやいていました。

 

 苔むした墓石や 親族が集まる 

小さなコンクリート広間のあちこちに 

 草がはびこっています。

 

草をむしり 枯れ葉を集めていると ふと

 「こんな 寂れた場所に 

 いずれは 母さんも 眠るんだな」 

 という思いがやってきて タカエは 

ちょっとだけ しんみりした気分になりました。 

 

父さんも 亡くなったし・・・・・・。

 

 「いや、 まてよ」 

突然 タカエの胸をよぎる思いがありました。

 

「父さんのDNAと 母さんのDNAが 

 わたしの中で 生きてる! 

   それどころか 父さんの父さん 母さんの母さん 

   そのまた 父さんの父さん 母さんの母さん

 誰も死んじゃいないんだ! 」

 

連綿とした 命の頂点に 今の自分がいる。  

私は 一人ぼっちになんか なりえない。  

 

命の代表なんだ。

 

箒を握る手に ぐっと力が入りました。