ラッキー
ミヨコさんは、娘のモモコから電話をもらいました。
「お母さんだったら、これを得したと考える?」
「何のこと?」
モモコは、とあるブティックで
ジャケットを取り置きしてもらっていました。
支払いはまだなのに、店の人は
その値段分のスタンプも押してくれていました。
ところが、モモコはジャケットをやめて、
その代わり友だちへのプレゼントに
ブラウスを買うことにしました。
レジに行くと「スタンプが一杯になりましたので、
500円分の割引をしますね」と言われ、
「ラッキー!」と思いました。
家に帰ってから、ジャケット分のスタンプが
加えられていることに気づきました。
その時の電話だったのです。
「すっごい損だと思う」と、ミヨコさんは答えました。
「たった500円ぽっちで、
心に引っ掛かりをつくるなんて・・・」
「そうだね。 ありがと」
しばらくして、またモモコから電話がありました。
「店の人に話したらね、
『こちらのミスですから、いいですよ』と言って、
そのまま、おまけにしといてくれた」
「これこそ、ほんとのラッキーさ!」