太陽、地球、月
ノブコ先生は、参観日にどんな授業をするか、
悩んでいました。
実は、ノブコ先生、
あまり勉強が得意ではないのです。
明日の理科で、何しよう・・・・・・?
ノブコ先生は思いきって、
気象庁に勤めている叔父さんに
聞いてみる事にしました。
太陽の大きさってどれくらい? 月は? 距離は?
子どもたちにどう話せばいいんだろう。
ネットで調べる事も出来るのでしょうが、
昔から天文好きだった叔父さんの話は、
へ~、ほ~、の連続で、
ノブコ先生を大いに楽しませてくれました。
太陽の半径は69万6000㎞
地球の半径は6378㎞ 月は地球の約4分の1
自ら光を発する恒星である太陽の周りを、
惑星である地球が回り、
その地球の周りを衛星である月が回る。
太陽から地球までの距離は1億4960万㎞
「ま~、小学三年生にあまり難しい事言っても
分からないだろうから、単純に、
地球を直径1センチのパチンコ玉だとすると、
太陽は地球の約100倍、
直径1メートルくらいの球を用意して、
100メートル先に置けばいいんじゃないの?」
当日、運動会用の大球を
運動場に用意したノブコ先生。
「太陽が、これくらいの大きさだと、
地球はどれくらいになると思う?」
三年生のみんなは、両手を広げたりしながら口々に
「これくらい」 「いや、ぜったいこれくらい」
とサイズを言い合いました。
「実はね~」 と、
ノブコ先生がポケットからパチンコ玉を取り出すと
「ひえ~!」 と、一斉に感嘆の声が上がりました。
「ね、ね、びっくりでしょ?
たった、これっくらいなんだよ!
私たちの住んでる地球って!」 と、
一番興奮しているのは ノブコ先生でした。
「月は?」 「月はね~」 と、
今度はパチンコ玉の4分の1の大きさの
ピンを取り出しました。
「うわ! ちっちぇ~!」
「そうだね~。 小っさいね~」
「じゃ、太陽から地球までの距離は
どれくらいあるんだろう?
あんなに大きく見えるし、暖かいよね。
ここくらいかな? も少し行くな?」
みんな、ジリジリと太陽の球から離れていきました。
「え~い! めんどくさい! さ、みんな!
先生についといで! 行くよ!」
ノブコ先生がピューっと駆け出しました。
あわてて、子どもたち、
そして父母までもが駆け出しました。
先生のお話を聞いているうちに、
父母達までもがワクワクし出していたのです。
「はーい! ストップ!」
100メートル程先で止まって、
クルリと振り返ってみた太陽は、
ちょうど真上にあるのと同じくらいの
大きさに見えました。
「うわ~! 遠~い!」 「へ~」 「ほ~」
その後、
遮光板を使って太陽を見た子どもたちや父母。
またもや 「へ~!」「ほ~!」「すっげー!」
興味津々、楽しい楽しい授業参観になりました。
その中でも、
とりわけ 教えてもらった喜びに瞳をランランと
輝かせているのは、ノブコ先生自身でした。
*本日から5日間ほどパソコンの前を離れます。
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