マサオは 学園祭の 大道具作りで
腕にケガをしました。
一所懸命 頑張ってる証のようで、
誰かに見せたくて 仕方ありません。
ちょうど 台本の件で
カツヨが話しかけてきました。
マサオは さりげなく 傷ついた方を
カツヨに 向けたりしました。
『 あら、 どうしたの? 大丈夫? 』
『 いや、なに、 大したことないさ 』
『 でも・・・・・・』
と 会話は進むはずでした。
ところが カツヨは 自分の用事がすむと
さっさと行ってしまいました。
マサオは 面白くありません。
初めは 軽い期待のはずが、 だんだん
怒りのような感情に 変わっていきました。
「 あいつは なんて 無神経な奴なんだ 」
などと 悪口を言い出す始末。
その時、 カツヨが置いてった 台本が
目に止まりました。
そして、 気づいたのです。
俺って ばっかみたい!
勝手に脚本書いて 主人公になって、
相手が 思い通りに動かないからと言って
腹立てるなんてよ。
しかも、 たった一言 「 大丈夫? 」
が 聞けないからってよ。
それとも何かい? そいつを 聞きゃ~
傷の痛みが減るんかい。
カツヨに 御利益でもあるって言うんかい。
そんでもって 何だよ、 俺の返事は
「 いや、 なに、 大したことないさ 」?
んなら、 初めっから 聞かれなくったって
いい訳じゃねぇか! この、 アホ。
期待惚け!・・・・・・。
その様子を 遠くで見ていた カツヨが
溜息混じりに言いました。
「 やれやれ また 始まった ――
マサオの一人芝居 」
一人芝居で 相手を 悪く言う前に、
まずは ちゃんと
気持ちを 伝えるようにしたいね。