歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

一人芝居

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マサオは 学園祭の 大道具作りで 

腕にケガをしました。

一所懸命 頑張ってる証のようで、 

誰かに見せたくて 仕方ありません。

 

ちょうど 台本の件で 

カツヨが話しかけてきました。 

マサオは さりげなく 傷ついた方を 

カツヨに 向けたりしました。

 

『 あら、 どうしたの? 大丈夫? 』

『 いや、なに、 大したことないさ 』

『 でも・・・・・・』 

と 会話は進むはずでした。

 

ところが カツヨは 自分の用事がすむと 

さっさと行ってしまいました。

マサオは 面白くありません。  

初めは 軽い期待のはずが、 だんだん 

怒りのような感情に 変わっていきました。  

 

「 あいつは なんて 無神経な奴なんだ 」 

などと 悪口を言い出す始末。

 

その時、 カツヨが置いてった 台本が 

目に止まりました。

そして、 気づいたのです。   

俺って ばっかみたい! 

勝手に脚本書いて 主人公になって、 

相手が 思い通りに動かないからと言って 

腹立てるなんてよ。

しかも、 たった一言 「 大丈夫? 」 

が 聞けないからってよ。

 

それとも何かい? そいつを 聞きゃ~ 

傷の痛みが減るんかい。

カツヨに 御利益でもあるって言うんかい。

 

そんでもって 何だよ、 俺の返事は 

「 いや、 なに、 大したことないさ 」? 

んなら、 初めっから 聞かれなくったって 

いい訳じゃねぇか! この、 アホ。 

期待惚け!・・・・・・。

 

その様子を 遠くで見ていた カツヨが 

溜息混じりに言いました。 

「 やれやれ また 始まった ―― 

  マサオの一人芝居 」

 

一人芝居で 相手を 悪く言う前に、 

まずは ちゃんと 

気持ちを 伝えるようにしたいね。