受付嬢の笑顔
カラオケしたときに
「42キロカロリー消費しました」
なんて表示が出る機械があるんですね。
ああこりゃ歌好きで運動嫌いの私には
ぴったりのスポーツだ!
と思い、一人で行ってみる決心をしました。
(決心するほどのことなんです、私にとっては。
実際には、そこまで往復した自転車の方が、
よほど運動になったと思いますが)
受付の姉ちゃんは小太りで、ブスッとしています。
きっと私のこと「不良」と思ってるんだ・・・。
(だ~れも、あんたのことなんか
気にかけちゃいないって!)
マイク握って歌手(カス?)になりきって、
アクションも派手に歌い込んでいたら、
カチャッとドアの開く音。
とたんに口をつぐんで、
おっそろしくドキドキしてしまいました。
「お待たせしました~。お飲み物です~」
どうしてこんなに気が小さいんだろ。
美容室でシャンプーしてもらっている時も、
「かゆいとこありませんか?」って聞かれて、
即座に「大丈夫です」と答えてしまう。
なにが「大丈夫」なんだよ!
「右側の、こめかみの辺りがかゆいです」
ってなんで言えないんだろ。
二回目にカラオケに行ったら、
受付の姉ちゃんが顔を見るなり
「10番の禁煙ルームですね」と言いつつ
私の名前もスラスラ書いていくので
「すごーい!」と感動したら、ニタッと笑った。
笑うんだ! この人。
そのとき思った。よし、毎回同じ飲み物を注文しよう。
そしたら、
「10番禁煙ルーム。ホットココアですね」
って姉ちゃんが言って
「すごーい! 飲み物まで覚えていてくれたんだ」
って言ってあげられるもん。
***その後、ほんとにその通りの事が起きました。
客の飲み物まで覚えられる姉ちゃんは、得意そうでした。
コロナ前の出来事です。