歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

エコロジー

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五年三組の授業で、エコロジーについて 

グループ学習をすることになった。

夏休み明けには、それぞれ調べてきた事を 

発表するのだ。

 

お互い「ゲーッ!」と言いながら、

いやいやグループになった マリコとタカシは、

カナコの家へ向かった。

 

「アイツんち、金持ちなんか?」 

立派な門構えを見て、タカシが言った。

「そうだよ。一番下のカナコ以外、お兄ちゃんも、

お姉ちゃんも、お父さんも、お母さんも 

それぞれ車持ってるし、

グランドピアノもあるし・・・・・」と、マリコ

 

通されたカナコの部屋は、

クーラーが効いてて快適だった。

「いいな~。 おまえの部屋、涼しくて。 

このテレビ、おまえ専用か?」 

「うん。 そうだよ」 と、カナコ。

「じゃ、みんなに一個ずつ、クーラーも、

テレビもあるんか?!」と、

タカシが 畳み掛けるように聞くと、

「これこれ、貧乏人は 黙って 勉強する!」

と、マリコが エコロジー協会から貰ってきた

資料を開いた。

 

「え~、深刻な地球温暖化――温室効果ガス排出量の

削減のため、家庭で出来るエコとは・・・・・・

冷房は28度を目安にし――冷房を一度高く設定する

だけで、年34㎏のCO2を削減できるんだってよ」と、マリコが読み上げると、

「快適気温は26度というから、うちでは 

いつもその温度にしてたんだけど」と言いながら、

さっそく カナコは リモコンで2度上げた。

「そのぶん暑くなりそうだったら、

扇風機を使って空気を循環させればいいしね」

 

「テレビを観る時間を一日一時間減らすと、

年間約15㎏のCO2削減」

 

「電灯の使用を一日一時間短縮すると、

年間24~11㎏の削減だって」と、マリコ

「あっちにあったシャンデリヤ、

すっげー電気のかたまりじゃねーか?」と、

応接間の方を指さしながら タカシが言った。

 

学習を進めるうちに、

カナコが申し訳なさそうに言った。

「なんだか、うちだけで、ずいぶん地球温暖化

促進しているような気がしてきた」

「そーだよ! おまえんち、だいたいなー、

ぜーたくなんだよ」と、タカシ。

「カナコんちだけではないと思うけど――でも、

気づいたところで習慣を改めるってのも必要かもね」

と、マリコも言った。

 

「よし! 各部屋のクーラーやテレビを減らして、

出来るだけ一部屋で過ごすように、

ママに提案してみる!」と、カナコが一大決心をした。

「そのほうが、一家団欒(だんらん)って感じで、

案外いいかもよ」と、マリコも賛成した。

「そうだ、そうだ、そうすべきだ!」と、タカシ。

 

おやつを食べながら、しばらく雑談した後、

今日は有意義な学習会だったと満足して 

お開きになったが、

帰り際、玄関まで見送ったカナコに、

タカシがそっと耳打ちした。 

 

「そんでよ、あのよ、おまえんち、

クーラーもテレビも いらないんだったら、

おれんちにくれよ」

 

 

 

 

 

 

おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい

 

団扇(うちわ)も いいかも おちゃらかほい