唐辛子を靴の中に入れると暖かいというのを
テレビでやっていたので、
たまは さっそく 試してみることにした。
テレビで どう「入れて」いたのかは覚えてないが、
とにかく入れりゃいいのだからと、
でかい真っ赤な唐辛子を三本
キッチンペーパーに包んで 靴の中敷きにした。
しばらく歩き回っていたけれど、
いっこうに暖まる気配はない。
それで、足指で グリグリグリと押してみた。
あ~、ほんの少し・・・・・・
と思ったのも束の間だった。
突然、焼け付くような感じがして、
それが どんどん強くなっていく。
あちぃー! あっちぃよーーー!
たまは、まるで火あぶりにされたかのように
わめきだした。
足が 足が 燃えてる!
急いで靴を脱いでみたが、
足は見たところなんともない。
冷たい缶ジュースを買って、
氷代わりに当ててみた――効かない。
デパートの家電売り場で、
クーラーの吹き出し口に足をかざしてみた――だめだ。
やけどの手当の仕方を思い出し、
トイレの手洗い場で 流しっぱなしの水に
両足を交互に上げて ビチャビチャ冷やしていたら
人が来た。
「な、なにしてるんだ!?」と言いたげに、
その人がビックラこいたので、
たまは 急いでトイレに入って戸を閉めた。
「おっそいわね~、ここ」。
ドアの外に並ぶ人数が増えていく。
中では、水洗トイレに足突っ込んで、
ジュ~っと 冷えるのを待つ たまがいた。
おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい
消防車呼びたい! おちゃらかほい