キャッツ・アイ
友だちが 気の弱いマサミに
キーホルダーをプレゼントしてくれました。
「これは キャッツ・アイという石でね。
決断と力を持つんだってよ」
「わあ うれしい。 ありがとう!」
マサミは さっそく 自分の携帯に付けました。
友だちの家で 長いこと話してから
さて 家に帰ろうかと 駐車場へ向かいました。
車に近づくにつれて ブ~っと 低い音がするので
何だろうと思いつつ見てみると、
なんと、鍵が入って アイドリングしたまま
停めてあったのです。
幸い サイドギアは引いてあったので
勝手に動いたりはしなかったようですが・・・・・・。
「バッテリーは?! バッテリー上がってない?」
と 友だちが聞きました。
さっそく 乗り込んで エンジンを掛けると
ブオン! と 無事かかりました。
「あ~、 良かった!
こんなに長いことほっといたのに 大丈夫だなんて、
はや、 キャッツ・アイの 効果が出たのかしら」
マサミは 照れ隠しに言いました。
友だちの家を出て しばらく車を走らせていると、
右折の車が止まっている道に差しかかりました。
その車の後部が こちら側にはみ出して
やや斜めに停まっています。
マサミの前を走っていた軽自動車が
ギリギリ通り抜けました。
いつものマサミなら こういう場面では
あきらめて 待っているのですが、
今日は 何だか違いました。
「え~い。 行っちゃえ!」と 続いたのです。
すると、 パコン! 小っさな音がしました。
ハッと驚いて バックミラーを見ると、
右折の車には 若い女の人が二人乗っていて
運転者が 何やら助手席の娘に話しながら
マサミの車を指さしているようでした。
「サイドミラーが かすったのかしら?」
マサミが 減速して近くに一時停止しようかと
迷っている間も、上り坂の渋滞で後続の車が
せっついてきます。
バックミラーで 右折車の 動きや合図を
探っていましたが、追っかける気もなさそうで、
結局マサミは つらつらと登り切ってしまいました。
家に帰って、マサミは
キャッツ・アイの キーホルダーを外しました。