バスケットは、「巨人の足元の草」って感じだし、
バレーボールは
手のひらにピシャッ!と当たって痛いし、
水泳は死にものぐるいであがいたあげく、
枯れ枝が岸辺に辿り着くように
プールサイドにタッチするし、かけっこは
役員リレーしか出させてもらえなかったし、
およそ伸びやかな身体能力には程遠いなぁ。
でも、
「すっごいですね~。 また、優勝ですか」とか、
「継続は力なり、ですね~」とか、
「速い! 強い! カッコイイ!」とか言われながら、
家族のためには掃除機ひとつかけるでもない
自己中運動バカにゃなりたくねぇし――と、
せいぜい負け惜しみを言っている。
夜明け前の薄明かりの中、団地横のスペースで
裸足になって 土の感触を楽しみながら、
白い衣を着て太極拳をやっていた。
「うひょひょひょふぇふぇふぇ~~~」と、
妙な声がするので、振り向いたら、
新聞配達のおばちゃんが腰を抜かしていた。
「あの団地には幽霊が出る」という噂は、
私のせいじゃない――ってば!
朝早くは変なものに間違えられるし、
夜は逆に変なヤツが寄ってくるし、
昼間は「たまロースト」になりそうなくらい
暑かったりするし、そぞろ歩きもままならぬ。
しかたがないので鏡を磨く。窓を拭く。
軽快な音楽があれば楽しい。
届かないところは猿やウサギになったつもりで、
ピョンピョン跳びはねながら
「キャッキャ! ガオガオ~」とか
奇声を発すとなお楽し。