悔いなく生きて
友人のお母様が亡くなった。
89歳の大往生であった。
80過ぎまで 自転車に乗り、
畑仕事をこなし、 よく働く人だった。
私が 訪ねていった日も、
友人の車から降りた私に挨拶すると
すぐさま 車の汚れを拭き取っていた。
友人は 「 ええから。 ええから 」
と 止めていたが、
きっと いつでも
雑巾を持ち歩いている人なんだろうなと 感心した。
亡くなる前日は 友人とお風呂で談笑し、
当日は 散歩しながら 友人のご主人と会話をし、
その数分後に倒れ、 救急車で運ばれ、
最期まで意識もハッキリしたまま、
夕方 安らかに 息を引き取られたとのこと。
「 忙しい子どもの手を煩わせたくない 」
という願い通り
そして、
「 もう十分生きた。 思い残すことはない 」
という最期であった。