通学カバン
あたしゃ ほとんど
芥子粒(けしつぶ)のように小さかったから、
ランドセルのおっもかったこと重かったこと!
今でこそ クラリーノやらなんだら軽い物が、
しかも ピンクだの ブルーだの、
色までやたら軽々しくなっているけれど、
あたしの頃は男は黒、女は赤と相場が決まっていて、
しかも 晴れて 学業の世界に飛び込むのだからと、
親は奮発して「本革だぞ、カ、ワ!」
と仰々(ぎょうぎょう)しく
跪(ひざまず)きをさせられている我が子に
賜(たまわ)るのであった。
あたしゃ その「ホンガワ」のせいで、
ほとんど後ろに仰(の)け反(ぞ)るように歩き、
小学校に着くのに
「さ~んぽ 歩いて 二歩さがる~♪」状態で、
遅刻の常習犯となっていった。
中学になると 肩掛けカバンになったものの、
剣道の袴やらなんやらが加わって
重さはさらに増した。
さすがに高校生ともなれば、体格も大きく・・・・・・
ならんかった! けど、ま、
少しは部活で鍛えた腕力も付いたかと思いきや、
その頃はやりの「本革」手提げカバンに、
分厚い辞書が英和、和英、国語、
古語と加わり、もう 肩が根本からぶっちぎれる
のではないかと思ったほどだった。
おばさんになって
アメリカンスクールに通ってみたらば、
なんと やつらは 手ぶらで来て 手ぶらで帰る!
机の中に 教科書は置きっぱなし!
宿題は? 予習復習は?
勉強は学校でたくさん!
うち帰ったら あ・そ・ぶ。 いいはずよ~。
よし、あたしも・・・・・・
やっぱ本無くなったらやだから持ち帰ろう。
おばさんになっても
カバンの重さから 逃れられそうもない。
ただ一つ違ったのは、以前は肩がちぎれそう!
だったのが、
今は肩に「食い込む」ようになったこと、かな。
とほほ。