逃げる
痴漢が乗り込んでくるというバス停があった。
近づいてバスの窓から見ると、なるほど噂通り
ひらひらした帽子を目深に被り、
太った外国人らしきおっちゃんが、
何やらぶつぶつ言いながら待っている。
ちょうど通学時間で混み合っており、
うら若き女子高生たちが
「ほら! またあの男!」
と騒ぎ出す中、バスは停り、
ヤツがステップに足をかけた。
きゃ~!!
いち早く危険を察して、
バスの後部へ駆けてった人物に、皆が唖然とし、
ヤツの動きさえ止まってしまった。
一等最初に逃げ出したのは、
なんと、ばあちゃんだった。
おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい
も~とは乙女よ おちゃらかほい!