歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

気づいた時に少しずつ

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「だっから、 なんで あんたは まとめてやろう 

 なんて思うわけ?」

 

お手伝いSOSを受けて カエデの家にやって来た 

姉のモミジが言った。

 

部屋の中は、冷蔵庫の中身や食料品が散乱していた。

いつかやろう、いつか片づけようと思いつつ、

ズルズル引き延ばしてきたが、

カビくさい臭いも出てきたので、

やっと重い腰を上げた。 

 

とりあえず すべてを引きだして、

棚を拭いたまでは良かったが、

さて、どのように収納したものか――。

それにしても、よっくも まあ 

これだけの物をため込んでいたものだ、と 

我ながら感心した所を叱られた。

 

「これ、まだ いけるよね?」と、

おずおず聞くカエデ。

「賞味期限の切れたのは、潔く捨てる! 

 見づらい物はマジックで大きく書いておく!」

背の高い物、開封してない物を奥にして、

期限が迫っている物を手前に置く。

醤油やわさびなどの小袋は、

まとめてタッパーなどに入れて・・・・・・。

 

モミジの指導のもと、

あれよあれよという間に片づいた。

 

「気づいた時に少しずつ

 これからは、それをモットーにしなさい。 

 例えば、今日は靴箱のこの段を整理しようとか、

 風呂場を一メートル四方カビ取りするとか、

 あそこの棚だけやろうとか、

 無理のない範囲でやっていくのよ。 

 だいたい、ただでさえ面倒くさがり屋のあんたが、

 明日の自分に期待するのがおかしい。 

 いつか 突然掃除好きになって、パワー全開! 

 さっさかやり出すとでも思ってるの? 

 いい加減、自分の性分とペースを知りなさい」

 

なかなか手厳しく、もっともな姉の助言であった。