味噌造り
カヨコの家で、モトコ、タマが味噌を造る事にした。
材料は玄米、黒胡麻、鳩麦、麹菌、塩、大豆、黒大豆。
あらかじめ48時間漬け込んで発芽させた玄米と、
8時間漬けた鳩麦、黒胡麻を布でくるみ、
圧力鍋にすのこを敷いて五分ほど蒸す。
タッパーに取り出して、人肌くらいに冷まし、
麹菌を入れる。 さあ、ここだ!
「人肌って?」
「いいんじゃない、適当で」
「入れちゃえ 入れちゃえ」
ええかげんな三匹の味噌だちは、
ざっくり麹菌を混ぜ込む。
そこへ、カヨコのお母さん登場。
とりあえず年長者の顔を立てて
「お母さん、今、麹菌混ぜたけど、どう?」
お母さんは、手のひらを突っ込んで
「なんね、これ、熱いじゃない!」
そこから説教だ。
「あんたたちは三人揃って『人肌』もわからんのか?」
「私、ちょっと、風邪気味かも・・・体温高い・・・」
「だって、早く造りたかったんだもの・・・」
ぶちぶち・・・・。
「これじゃ、麹菌が死んでしまうよ」と、お母さん。
「じゃ~、どうすればいいの?
この材料、みんなパ~? 高かったのに・・・」と、
カヨコ。
「冷ましてから、また、麹菌を足してもいいですか?」と、タマ。
「うん、いいよ」
「え? いいの?」と、カヨコ。
「なんで、麹菌は足しても大丈夫さ~」
あっけらかんと言うお母さん。
そいじゃ~、そんなに、
大騒ぎする必要もなかったのに・・・・・・。
あとは、サラシで包み、
その上からバスタオルをまいて、タッパーに入れ、
二、三日保温して麹がたつのを待つ。
初めて味噌造りに参加したモトコが言った。
(後の二人は以前『一応』造った経験がある)
「味噌造りって、結構面倒なんですね。
昔の人は大変だったでしょうね」
お母さんが すかさず 言ってのけた。
「だっから私は造らんって言ったのよ。
あっしゃ、スーパーに行けば、
いくらでも安く買えるのに、
なんで、わざわざ難儀するね~」
さらに、とどめを刺すように――
「味噌汁ばっかり飲んでると高血圧になるよ~」