歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

自分の時間

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うちでは なぜか 

「コーヒーは二十歳になるまで飲んではいけない」

というおきてがあった。

頭が悪くなるだかなんだか、理由も、

誰が決めたのかも定かじゃないけれど、

とにかく、おいしそうに飲む姉たちを

うらやましげに見ていた。

 

念願の二十歳になって、

飲んだコーヒーは実にうまかった!

と言っても、

ミルクと砂糖をたっぷり入れたせいだ。

 

ブラックの味を覚えたのは

だいぶ経ってからだった。

ようやく大人の仲間入りをしたような気がした。

 

初めはインスタントで

手軽にちょくちょく飲んでいたが、

そのうち、豆を碾(ひ)いて淹(い)れるようになった。

 

絵は、友達がどっかから借りてきてくれた、

豆を煎る機械なのだが、機械のくせに

焦がしてしまって、かえって面倒になった。

それではと、フライパンで煎ってみたけれど、

それはさすがにしんどいのでやめた。

 

手回しで豆をがりがり碾(ひ)いて、

用意したペーパーに移し、ゆっくりと湯を注いで、

豆の香りと膨らむさまを楽しむ。

 

生活が慌ただしくなるにつれ、

手間暇かけてコーヒーを淹(い)れることが、

ますます貴重になってきた。

 

これは、自分のために、自分に捧げる時間。

馥郁(ふくいく)たるひとときを、

自分へのプレゼントにしたいと思う。