歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

確定申告

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マチコは 役場の人間が 大っ嫌いでした。

 

公僕と言いながら 人を見下げるような態度 

「お上じゃないっつうの!」

 

こっちは 毎日 必死で稼いでいるというのに  

 

領収書の小さなミスもとりあげて 

あーだこーだと やかましいったら ありゃしない。

 

今日も はなっから 敵対するような心持ちで 

呼び出された席へつきました。

 

ところが 目の前の男の人は これまで応対された 

役場の人とは 違っていました。

 

メガネをかけて 気むずかしいかと思いきや、 

その奥には親切な眼差がありました。

 

ずいぶん混んでいるにもかかわらず 

一つ一つの項目を 丁寧に見、 

 

質問に答えるマチコの言葉も 

しっかり聞いてくれました。

 

そして 処理すべきことは テキパキと済ませ 

「はい。 いいですよ」と終えてくれました。

 

マチコは 役場の人間を ひとくくりに 

非難していた自分を ちょっぴり反省しました。

 

そして 立ち上がりながら 言いました。

 

「あなたのような人が 役場にいて良かった」