非難と願望
クミコが彼氏に言った。
「マチコったらね、また、彼氏変えたのよ。
今度は馬主なんだって。 知ってる?
馬主ってね、相当の資産がないとなれないらしいよ。
でもね、お金ばかりあってもねぇ。
マチコったら、この頃、
やたらチャラチャラした服を着てんの。
彼の気品に見合うように、だってさ。
それも、疲れると思わない?
ルックスもいいって。 ずいぶんモテたらしいわ。
心配よね。
マチコを迎えに来た時に、ロールスロイスが
路地で立ち往生しちゃったんだって。
迷惑よね~。
この前は、クルーザーで海に出たらしいけど、
この時節、日焼けするのはどうかと思うわ。
大豪邸でね、使用人も大勢いるんだって。
人使うのも、何かと大変よね。
来年は、世界一周でもしようか、なんて、
話してるらしいけど、
それって、結構、体力いるんじゃない?
馬、もね~。
まあ、くりくりしたかわいい目をしているから、
乗ってみるかと言われると、
乗ってやらないでもないけれど・・・・・・」
クミコの彼氏が、中古カローラのドアを開けて言った。
「ところで、これには乗るの? 乗らないの?」
おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい
非難は 願望の裏返し? の・ほい!