歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

愛の窓から見ることを教えてくれた少年

今回はジャンポルスキー博士の本の紹介です。

文庫本を手に入れてからは バッグの中であったり 

何かにつけて 開きたい本の一冊です。

 

あるとき、センターでの私たちの活動を

耳にした人たちを通して、ジョーという少年に

会ってほしいという依頼を受けました。

 

ジョーは十五歳で、トラクターに二度も

頭部を轢かれたそうです。

視力とすべての感覚機能を失い、口もきけなくなり、

両側性の痙攣性麻痺をわずらっていました。

 

何か月も昏睡状態が続き、医師たちも、

たとえ奇跡が起こっても彼は助からないだろうと

思っていました。

 

けれど家族は希望を捨てず、ジョーは回復すると信じ、

一日一日を大切にし、「今」をせいいっぱい生きようと

努めました。

 

やがてジョーは徐々に意識を取り戻し、何があっても

完全に回復すると心に決め、必死で努力しました。

 

すると、奇跡のようなことが次から次へと

起こりはじめたのです。

 

ジョーは言葉を取り戻し、歩きはじめました。

しかも、そのあいだじゅう、ほかの人の力になることに

多くの時間をついやしたそうです。

 

私と会っているあいだ、ジョーの明るさが消えることは

ありませんでした。

 

いつも明るくしていられる秘訣を尋ねると、

ジョーはこう答えました。

誰にあっても、その人のいいところを見るってこと

 かな。よくないところは気にしないようにして。

 それと、”不可能”って言葉はぜったい信じないんです」

ジョーは、自分がかわいそうだと思うことは

めったにないといいます。

 

自分は世界からひどい目にあわされたと感じても、

無理のない境遇です。

しかしジョーは、世界とその中の人々を、

愛の窓を通して見ようと決め、葛藤ではなくやすらぎを

選びました。 私たちは選ぶことができるのです。

 

私にとって、ジョーは愛そのものです。

彼からは愛があふれ出しています。

ジョーと家族は、私に、そして多くの人に、

愛とは何かをはっきりと教えてくれます。

 

「私は自分の目に映る世界の犠牲者ではない」

ということを、ジョーはみごとに体現しています。

 

気分が落ちこんだとき、私はジョーのことを考えます。

すると、私だって自分のことを、

自分の目に映る世界の犠牲者として見ないことを

選べるのだと、あらためて気づくのです。

                  (本文より)