共に育つ
子どもたちの通っていた保育園に、
障がいを持つ乳児を抱えたご夫婦がやってきました。
「どこの園でも受け入れてもらえなかったのです。
私たちだけでは、この子を育てる自信がありません」
そう言って、若いお母さんは泣きました。
赤ちゃんの様子を見、ご夫婦の話をたくさん聞いた後、
園長先生は言いました。
「一緒に育てましょ」 若いご夫婦は泣きました。
いろんな場所で、泥んこ遊びをしたり、
畑仕事をしたり、動物の世話をしたり……
「そんな保育園に通わせたら、
この子は一年持ちませんよ」と、医者に言われた
重い腸の病気を患っている子もいましたが、
なんと大学まで行きました。
そういう評判を聞きつけて、
障がいを持ったお子さんの入園希望が多かったのです。
カンくんは、時々奇声を発しては、暴れたりします。
今日は畑に出ていたのですが、
スコップを持って振り回し始めました。
高台にある保育園のお手伝いをしていた私は、
縁側から雑巾を片手に
ハラハラしながら見ていました。
もちろん、保母さんたちも、
いざとなったら直ぐに駆けつける位置で
見守っています。
最初に動いたのは、年長さんたちでした。
「カンくん、あぶないよ」そう言って、
3~4人で囲み、上手に抑えたのです。
そして、カンくんを苗植えの係にしました。
その様子を見届けた後、
保母さんたちも、周りの子どもたちも、
また、当たり前のように作業を始めました。
この園の年長さんと言ったら、
そりゃ~もうカッコよくて、
全園児のあこがれの的です。
特に赤ちゃんの時から通っている子ほど、
よく遊び、よく働きます。
もちろん、けんかもしますけど。
障がいを持った子たちとの関りも長いですから、
手助けする時も心得ています。
「障がい児」という言葉は、
この子たちには関係ありません。 ただの仲間です。
誰もが誰かの手助けを必要としています。