歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

とにかく 笑っていよう

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金もない 才能もない 人徳もない

そう思ったら

ちんまり そこにいて

ほっこり 微笑んでいよう

それ以外 やりようがないのだと

心を ダランとほどいて 

自分を 笑っちゃおう

 

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 カノンちゃんに会った時 とても爽やかで 

笑顔の素敵なお嬢さんだなぁと思い、

いっぺんで好きになりました。

ですから、お母さんのフユミさんから 

これまでのご苦労を聞いた時 

ちょっと びっくりしました。

 

カノンちゃんは 癇の強い子です。

「産湯につけるのにも非常に苦労した」と 

フユミさんは言っていました。

「三時になったら おやつの時間だよ」と言うと、

時計の前で長針が12を指すまで 

じっと待っているような子でした。

 

頭が良く、いい高校にも入ったのですが 

余りにも几帳面で融通の効かない性格から 

ストレスが多い毎日が続いています。

 

家に帰れば それが爆発して 

母子家庭のフユミさんに ぶつけてしまうのです。

 

パンチングボードを買って 親子で 

思い切りパンチしてみたりもしました。

それでも足りなくて 泣きながら 叫びながら 

海浜公園へ向かって 家から 

走って出ていくことも度々ありました。

 

当然 親しい友だちも いません。

 

ある日、フユミさんは言いました。

「とにかく、笑っていなさい。

    緊張して顔がこわばっていると、

 誰も寄り付かないよ。

 笑っていさえすれば何とかなるから、

 にこにこしていなさい」

 

カノンちゃんは その言いつけを守って 

よそでは できるだけ 笑顔でいるようにしました。 

すると、もともと優しい よく気の利く子なので 

徐々に友だちも できてくるようになりました。

 

家では 相変わらず爆発しますが、

フユミさんは それでいいと思っています。