タカコさんは、お母さんの体が心配でした。
お母さんは、一日にタバコを二箱も吸います。
ぜんそく気味でも、やめません。
「苦労が多かったから、
タバコぐらい好きに吸わせてよ」
と言われれば、無理矢理禁止するわけにもいきません。
二十歳の頃から始めて、
六十歳の今日に至るまで続いた習慣は、
なかなか手強いものです。
タカコさんは、知り合いのお医者さんに相談して、
一計を案ずることにしました。
お母さんが定期健診に来た時、お医者さんは、
肺のレントゲン写真を観せて言いました。
「ほら、川田さん。 あなたの肺は、
こんなに真っ黒になっちゃったんですよ。
コールタールがべったりです」
お母さんは、
レントゲン写真を前に絶句してしまいました。
肺ガンで死んだ妹の事が思い出されました。
その日以来、お母さんはキッパリ!
タバコと縁を切りました。 めでたし。 めでたし。
実は、そのレントゲン、別人の症例写真だったのです。
お母さんの肺は、その時点では、
まだ「ショックを受ける程」には、
汚れていなかったそうです。
ちなみに、禁煙して五年も経てば、
どんなに汚れた肺でもきれいになるそうですよ~♪