川辺で暮らした事がある。
狸が線路を横切るような場所で、
朝は近くの山に登って、
新しい日を拝みながらお弁当を食べ、
昼は、河原でカヌー遊びに興じ、
バーベキューやらなんやらという贅沢をした。
その環境に憧れて、友だちが友だちを呼び、
訪れる人数がまたたくまに膨れあがった。
一応名乗り合うものの、
なかなか名前も覚えられないまま、
「よ!」とか「やあ!」とか言いながら、
河でパチャパチャ遊び、上流までカヌーを漕ぎ、
美しく蒼いカワセミの側まで寄せたりもした。
川下りのテーマソングまで出来上がり、
皆で大声張り上げて歌った。
夕方になると、明日仕事がある人は帰り、
その他は、雑魚寝状態で、
あるいは持参の寝袋で、泊まっていった。
来た人々が、どこの誰か、
ずーっと後になって分かった。
中には、著名な音楽家であったり、
本を著す程のカヌーのプロであったり、
よく売れてる雑誌の編集長という面々もいた。
でも、そんな事はどうでもよかった。
「お仕事は?」「何なさってるんですか?」
な~んて無粋な質問もなく、
「あーちゃん」だの「よっちん」だのと
親しく呼び合う遊び仲間で充分!
瞳を輝かせ、純真無垢な子どもにかえって、
皆、思いっきり遊び、笑い、飲んで食べた。