初めてわが家を訪れた友人の第一声
「生活しているの?」
一階に二間、二階に二間の ほんに小さな家なれど、
すっきりと片づいていて、
友人にしてみれば
「生活感が無い」ように見えたらしい。
お腹が空いていると言うので、
ざる蕎麦を作ってやったら、
「あら! これ、ちゃ~んと
ざる蕎麦用の器じゃん。 風情があるね~。
で? これ、いったい どこから出てきたの?」
その後も、珈琲を淹(い)れたり、
夕飯用の肉じゃがを作る際に
鍋やら ボールやらを取り出すたび
「この、珈琲ミルいいね~。 その、圧力鍋、
ほんとに早く炊けるのね」と、感心する事しきり。
そして、最後に こう言った。
「メリーポピンズみたい! 必要な時には、
素敵なものが、なんでも出てくるのね!」
こいつが帰った後、あたしゃ、
けっこう にかにか していたと思う。
傘を差したら もしかして、
舞い上がっていたやもしれぬ。