わたしの宝物
小学校教諭の娘が家庭訪問に伺った先での話です。
応接間に通された時、カズ先生はびっくりしました。
なんと ミツエが テーブルの上に
ちょこんと正座していたのです。
さらにミツエは
「お母さん、早く、早く、ここ、座って!」と、
お母さんを促しています。
実は、家庭訪問の前に カズ先生は
三年二組のみんなに こう言っていました。
「先生がおうちに行った時、テーブルの上に
皆さんの大切な宝物を出しといてくださいね」
行く先々で出されていたものは、
ほとんどがゲームやカードでした。
何事かと とまどう先生の前で、ミツエのお母さんは、
恥ずかしそうに、テーブルにちょっと腰を掛けました。
すると ミツエが 誇らしげに 宣言しました。
「先生、これが わたしの宝物です。
お母さんとミツエです!」
(文中仮名)