歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

刺身のつま

f:id:tamacafe:20201218135021j:plain

給料日には、おいしい刺身を買ってやろう。

いつも、スーパーの残り物ばかりじゃかわいそうだ。

タカシもミンミも育ち盛りだというのに・・・。

 

父親がいれば、肩車して 

おでん屋に 連れてってやったかもしれない。

私に金持ちの彼氏でもいれば、

ベンツでステーキを食べに行っただろう。

 

いやいや! 出てった男のことは もう言うまい。

この子らには 私しか いないんだ。

 

たとえ、ワコールの下着をつけられなくても。  

ニナ・リッチの香りを嗅げなくても。

ランチタイムの後に

ケーキセットを注文できなくても。

ダブルディップのアイスクリームを

シングルにかえても。

母は耐え抜いて、子どもたちの大好きな 

近海マグロの赤身を買って帰ろう。

 

子どもたちが 満足するまで、私は 

限りある刺身を見ながら つまで がまんしよう。

ムシャムシャ・・・・・・ムシャムシャ・・・・・・

 

すると、ミンミが言った。 

「お母ちゃんばっか、ずるい!」

つまが うまいと思ったのか――

ふ、ふびんな子じゃ――。

 

 

 

おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい

親の気も知らず おちゃらかほい!