だいぶ前の事だが、
機内で藤井輝明氏にお会いした。
生まれつき顔に海綿状血管種というものがあり、
そのために大変なご苦労をなさったが、
現在は 患者の痛みの分かる医療人として
活躍してらっしゃる方だ。
氏が 棚の上から荷物を取り出す際に、
座っている私と目があった。
「運命の顔」などの著書やメディアで、
存じ上げていたので、
私はにっこりと軽い会釈をした。
もちろん 私のことなど知るよしもない氏は、
一瞬戸惑い、そして、照れたように笑みを返された。
とても、チャーミングな瞳であった。
保母さんで、顔に大きなやけどの痕をもつ人がいた。
初めて会った子どもは
「おばけ!」 と言ったりして怖がった。
でも、馴れてくると、その顔は子どもにとって
「一番大好きな顔」になった。
「招かれざる客」で、
そのあまりの黒さに、私は仰天した。
平穏な白人家庭に突然現れた娘の婚約者に、
リベラルであったはずの両親が
大いに葛藤する物語である。
しかし、映画を観ているうちに、
私は彼が黒人であることをすっかり忘れていた。
それどころか、彼の品性が 肌を通して
白百合のごとく匂い立つようであった。