歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

鬱の境目 と 共倒れしないために

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以前 一緒に仕事をしていた人が、

鬱病の体験記を新聞に掲載していたので、 

驚いて会いに行った。

 

キューピーちゃんのように ポチャポチャしていた 

男の子(注:立派な成人男子)だったが、

新聞で見る限り、激やせしていたのが気になった。

 

彼も私も それぞれ 元の職場から

離れてしまっていたので 長い事 会っていなかった。

 

会って話をすると 激やせの原因は 

もともと太っていたので ダイエットしたとのこと。

鬱のせいで拒食症になったのではなくて、

とりあえず安心した。 

ほっとしたと同時に うるうる してしまった。 

大変だったんだなぁ・・・・・・。

 

「僕も たまさんと 久しぶりに逢えて嬉しい。 

不思議と逢いたいなぁと思っていたところです」

再会の喜びを分かち合った後、 

あまりにも多い鬱の現状について話し合った。

 

彼が鬱であると公表するようになってから、 

出会った人 5人中1,2人が、 

自分も鬱であると打ち明け、 

残りの人も 身内に鬱病を発症した人や 

自殺者がいるという話しであった。

この傾向は ますます 今後 増えるであろうと 

予測される。

 

その中でも 特に 子どもの鬱や 

鬱病の親のもとにいる子どもたちのことが、 

保健師で 地域支援の仕事をしている彼の 

最大の懸念であり、そのために、 

自分も現在治療中であるにも拘わらず、 

NPOを立ち上げ、 

著書の収益をそれに充てているとのことだった。

 

その彼に「一時的な落ち込みと、

鬱の境目はなんだろう?」と、聞いてみた。

 

「結構鋭いですね。 う~んっと、

医学的根拠はありませんが、

取りあえず一時的な落ち込みは誰でもあると思います。 うつとの違いは、

落ち込みが一ヶ月以上続いて、

今までできていたことが できなくなるような

(生活に支障がでる)状況になることだと思います。 

 

医学的には、一応うつをチェックする

質問項目はありますよ。

自分も、受診する前にチェックしたら 

見事にうつに当てはまっていましたよ。

結構今は、ネットなどでも

見ることができると思います」という返事であった。

 

「鬱の周りにいる人に、して欲しい事、

して欲しくない事は?」と 聞いてみた。

 

「自分が治してやろう! と 頑張りすぎない事です。 

心配しすぎない事です。 

鬱の人の側にいるだけでも、 すごく 

エネルギーが いるのですから・・・・・・。 

 

少し距離を置いて、 口は出さず、 

心離さず で いいと思います。 

そして、 自分のペースを守り、 

エネルギーを補充するため 

積極的に楽しい事をやってください。

気持ちの良い場所に行ったり、自然に触れたり、 

音楽を聴いたり・・・・・・」

 

自分自身が 服薬を続けていて 

きついこともあるだろうに、 

尚かつ 周りの者に配慮する。

あなたのその優しさ、そんなあなただから 

鬱にもなるのかと、ちょっと複雑な気持ち。

「私と働いている時にも、すでに 

症状は出ていたんだね。 

全然気づいてあげられなくて ごめんね」と言うと

「いえ、自分は評価で生きる人間でしたから。 

誰にも分からないようにしていましたから。 

決して、ご自分を責めないでください」 

 

そして、「またね」と部屋を出て行こうとする私を

追うように 彼は言った。

「こうやって、話を聞いてくれるだけで、

友だちとしての役目は充分果たしてくれているのです。 今日、家に帰ったら 『たま、よくやった』と、 

自分を誉めてあげてください。 

きっと、 声を出して言うんですよ。

自分で自分の事を 声を出して褒めるって 

とても大切なことなんです」