歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

子どもの絵

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小学校の先生が 嘆いていた。

「私自身は絵が好きで、

楽しく描いていればそれでいいと思うのだけど、

それでは賞が取りにくいのよね」

 

先生は子どもの頃、

自分が描いた絵に担任が勝手に手を加え、

それで賞を貰ったという経験がある。

「ちっとも嬉しくなかった」

赤いマジックで『よくできました』の花丸をつけられ、

落書きされたと思って 泣き出したこともあった。

だから、子どもの絵には手出ししたくない。

 

ところが、この頃 子どもに

「好きなように描いていいよ」と言うと、

目に星のある

マンガのキャラクターばかり描きたがる。 

すると、隣の子も真似をして、

同じような絵が並ぶようになる。

 

「私の小さい頃は、虫や花、剣玉やゴム弾飛びなど、

自然や遊びの中で絵が生まれていったものだけど」

 

先生は考えて、教室の掲示板用に 

好きな絵を思いっきり描かせ、児童画展用には

「よく見てごらん。 さわってごらん」と、

できるだけ実感のある絵を描かせるようにした。 

すると、徐々に 

もりもりと力のある絵を描くようになって、

先生の手を加えなくても入賞する絵が出てきた。 

 

賞を貰うとやっぱり嬉しいから、

子どもたちも色々と工夫をこらして 

オリジナリティー溢れる絵を描くようになったという。

時には、画用紙を真っ黒に塗りつぶす子もいたが、

それは 環境や心の状態を表すものとして、

先生は 注意深く受け止めるようにしている。

 

「そのうちに、掲示板にも 

個性的な伸び伸びした絵が増えるといいな」

子どもたちには言わないけれど、

先生の密かな願いである。

 

私的には、

絵のランク付けに何の意味があるのかと思う。 

人の感性を、どう審査するというのか。