生きてる人から学ぶ
大好きな先輩の 訃報が入った時
サエコは 愕然としました。
20年ぶりに 会う約束を
交わしていた矢先の事でした。
葬儀に出向くと 大勢の人に また 驚きました。
先輩は 独自の意見を持って
社会改革も 盛んに為していた人でした。
その様子は 離れた地方に暮らしていても
時々 風の便りに聞いていました。
しかし 生前の先輩に 社会の目は批判的でした。
身近な人々でさえ
受け入れがたく感じていたようです。
それなのに この人出はどうしたことでしょう。
しかも 皆 口々に
先輩の偉業を 褒め称えているではありませんか。
先輩が亡くなって ホッとした弾みに
口がゆるんだのでしょうか。
中には
モニュメントを建てよう と言う人までいます。
帰宅して アルバムを開き
先輩と過ごした日々を 思い返しました。
沢山 学んだ事がありました。
骨身を惜しまず 働く人でした。
「先輩、 おかしいねぇ。
先輩が生きてるうちは みんな
悪口ばっか言ってたのに・・・・・・」
笑ってる先輩の写真から
声が聞こえてくるようでした。
「伝記の人物になると尊ぶのよ。 まるで
歴史と活字が 保証してくれるかのようにね 」