歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

迷ったとき、悩んだとき、困ったとき

子どもと向き合うとき、

どんな心の持ちようでいればいいのか、

その一番大事なところを、

私は「子どもへのまなざし」に教えられました。

迷ったり、悩んだり、困ったとき、

必ずこの本を開きます。

すると子どもへの愛しさが、

むくむくと湧いてきます。

それだけで、たいていのことは

解決するのだということにも、

いつか気づくようになりました。 俵 万智(歌人

 

先週に続き 佐々木先生の御本の紹介です。

 

アフリカには

「たった一人の子どもが育つためにだって、

 村中の人の知恵と力が必要なのだ」という、

すばらしいことわざがあると

教えてもらったことがあります。

 

いま、私たちが取りもどさないといけないのは、

子どもを一人でも多くの人の手のなかで、

育てようという心ではないでしょうか。

 

それにはまず、一人ひとりがたがいに

響き合える心をもって、周囲の人たちと

喜びや悲しみを分かち合いながら、

親しいまじわりのなかで、

子どもを育てることができるような

感性や習慣を取りもどすことです。

 

私は、人間は他者と喜びや悲しみを分かち合い、

響き合う心を持ち合いながら生きることが、

結局は、みんなの幸福を

願うことにつながると確信して、

『完 子どもへのまなざし』を

まとめようと思いました。 「まえがき」より

 

人間というのは、人の愛情に恵まれながら育ち、

相互依存(相手に寄りかかる依存、

相手の依存を受けとめる自律性)の

関係のなかでしか、

健康で幸福に生きていけないのです。

 

誕生してまもない赤ちゃんは

自分では何もできませんから、まず、

お母さんへの一方的な依存をします。

 

けれど、エリクソン

「一方的依存ではありません。

 赤ちゃんは存在するだけで、

 親を幸福にする存在なのですから」と

いっています。

 

以前に講演会で、このことにふれたお話を

したことがあります。

講演が終わったあとに、

高齢のご婦人が手をあげて

「私たちが子どものころには、

 まわりのおとなたちは、

 子どもというものはかわいくてかわいくて、

 三歳までに生涯分の親孝行を

 すませてくれてしまう。

 それくらい親や家族を喜ばせてくれる存在だと、

 そのころのおとなの人たちはいっていました」

と 感想をおっしゃっていました。

 

本来、人間というのは、

相手が自分を幸福にしてくれるという気持ちを

もてる人だけが、相手を幸福にできるのです。

 

赤ちゃんの誕生の場面にかぎらず、

人間関係というのはすべてそうなのです。

 

昔の人たちは、こういう感情を

自然にもっていたと思います。

 

基本的には、子どもは最初に出会った人に対する

豊かな信頼関係があってこそ、自分への信頼、

自信につながり、そうして育った子どもが、

その後の発達、成長の時期の課題を

達成していくのです。

 

みんなで赤ちゃんの誕生を喜ぶ社会に

なってほしいと望んでいます。

 

「よくぞ生まれてきたという気持ちをもって」より