春は来る
ヤヨイさんから連絡がありました。
友だちの悲惨な家庭状況を見て、
苦労を一身に引き受けているおばちゃんが、
このままでは死んじゃうんじゃないかと
心配していたヤヨイさんです。
借金をくり返していた娘が、
ブティックで働くようになったそうです。
ファッションに目覚め、
お菓子で出来ていたぶくぶくの体を変えるべく、
毎日6~7㎞も歩いているとのこと。
おかげで今はスリムになり、
0脚も改善して姿勢も良くなったようです。
グータラしていた夫は、
印刷所でインクだらけになりながら、
汗水垂らして働き始めたとのこと。
一年経って、正社員にもなれたそうです。
ヤヨイさんの友だちである息子の方も、
引きこもりがちだったのが、
レストランのコック見習いとして、
こつこつ働いています。
その状況に安心したのか、
おばちゃんの高血圧も落ち着いて、
病院通いもだいぶ少なくなったとのこと。
「おばちゃん、とっても明るくなってた。
ずいぶん心配したけれど、人間って、
変わるものなのね。
あの時は、絶望的に見えたのに――
あきらめちゃいけないのよね。
おばちゃん、死ななくて、ほんとに良かったよね」