歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

米寿祝

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ナンちゃんのサックス演奏

昨日は義母の88歳の誕生日、

米寿祝のランチ会でした。

このご時世で、他県に住む孫たちも来れず、

義弟夫婦と私たち夫婦四人だけの参加でした。

少しでも華やかにしようと、習字の得意な義弟は

「誕生日おめでとう」と横断幕を書いてくれ、

私たちは折り紙で輪っかを作って、

その周りを囲みました。何十年ぶりでしょうね、

そういう事するの。とても楽しかったです。

 

義弟はチェロでなぜかクリスマスの曲、

夫は後輩のナンちゃんから譲り受けたサックスで

「枯葉」、義妹と私はウクレレで「Happy Birthday」。

それぞれ習いたてでめちゃくちゃ少ない

レパートリーの中からの選曲でした。

義母は三線とお琴の師範免許を持っているので、

ほんとは、そっちのほうがいいのでしょうが、

お祝いですからね。

笑いながら聴いていただきました。

 

料理はお稲荷さんとフライドチキン。

マカロニサラダに生ハムグリーンサラダ。

「何にも用意しなくていいからね」という言葉を

聞かない義母の豚汁。お刺身。果物、

そしてもちろんケーキとコーヒー。

 

ひと段落した頃、それぞれ祝いの言葉が述べられ、

私は「よくぞ、戦火を生き抜いて来られました」

と感慨深げに言いました。

 

というのも、以前、義母と いたずらや

失敗談をしていた時、

ばれたかばれなかったかの話になり、私は、

姉が彼氏からもらった白馬の陶器製の置時計を

落として割ってしまい、そのまま置いてあった

台の後ろに隠して知らんふりしていたけれど、

ずいぶん後になってから姉に

「あれやったの、あんたでしょう」と言われたよ

と話しました。そして、同じくお茶碗を割って

隠していたという義母に

「お義母さんは、ばれたんですか?」と聞きました。

 

「ばれなかったよ」

 

その理由を聞いて、そこにいた皆が固まりました。

 

戦争が始まったから

 

 

 

「そうだね、あの時は……」義母が話し始めたとき、

私は『しまった!』と内心思いました。

何も、お祝いの席でする必要はないのに……

周りにチラッと目をやると

『こりゃ、長くなりそう』という雰囲気でした。

でももう遅い。

義母の目はあの日々に飛んでいました。

そして、私たちも、

その日が義母の誕生日であるだけではなく

終戦記念日」であることを肝に銘じて、

じっくり聞くことにしました。