歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

十年先を見てごらん

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101歳で一人暮らしをしている知花さんの話が

新聞に載っていた。

「自分でできることは自分で」がモットー。

三十年前に奥さんを亡くされてからは、

家事もすべてこなす。

90歳過ぎまで自転車にも乗っていた。

しかし、さすがにこの頃はきつくなってきたという。

周りの人は身の回りの世話をしてくれる

施設に入るよう勧めるが

「寂しいときもあるけれど気を使わない家が一番楽。

畑も耕さないといけないし、仕事はたくさんある」

と、断る。

そして、80年近く吸い続けてきた たばこを

「健康のために」とやめた。

「やりたいことがある。 まだまだ生きたい」

 

坂根先生が面接にいらしたとき、院長は驚いた。 

なんせ、70過ぎのバイト希望である。

しかし、他に来る予定もなかったので、

まあ、とにかくやってもらいましょうか、

ということになった。

先生は、子どもが無く、奥様と二人暮らし。

その奥様が見立てた服を、

ダンディーに着こなしてらっしゃる。

動きが緩慢で、少々フォローもいるが、

丁寧な診察をなさっていた。

先生は、歯科医であったが、

60過ぎて医師の勉強を始めたという。

たくさん学んで、たくさん仕事して、

将来は、愛する奥様と二人で、

もうすでに予約済みの素晴らしい老人ホームで、

のんびり優雅に暮らすのだという。

 

「先生すごいですね。 

わたしゃそんなに頑張れませんよ」と言うと、

「たまさん。 十年先を見るんですよ。 

十年先の自分をね」と、おっしゃった。