歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

自我(エゴ)へ

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生まれてきたくて 生まれてきたのではなく

死にたくて 死ぬのでもないのならば

その間の 生も

汝を あらしめている存在に委ねてしまってはいかが?

いたずらに あらがうことなく

あるがままに くつろいでごらん

 

 

母は10人の子を産みました。

その中の2人は 戦時中に亡くなったそうです。

残ったのは一男七女。 兄は6番目ですが 

父が「う一人 男の子が欲しい」ということで 

後2人産みました。

 

末っ子の私は これでお終いという意味で

「とめ子」にしよう

という考えもあったらしいのですが 

幸い「たま」になりました。

わたしは この名前が気に入っています。

 

しかし 18歳で嫁ぎ ワンマンだった父のもとで 

人生のほとんどを 出産と子育てに費やした母は 

どうだったんだろう 

 

父の都合で別居を余儀なくされ 

生活費もままならない環境で 

多くの子どもたちを抱え 

苦しい生活を強いられた母

 

わたしは 生まれてきて良かったんだろうかと

考えることが多々ありました。

そして 物心ついた頃から 

自分を消し去りたい思いに苛まれました。

 

母が 89歳になった誕生日

「今が楽しいので もう少し長生きさせてください」

と ケーキのロウソクを吹き消す前に言った時 

わたしは こんな言葉を聞ける日が来るなんて 

と 胸が震えました。 

他の兄姉も涙ぐんでいました。

 

母が亡くなって後 

母がわたしの書籍を大切にしまってあるのを見ました。

ほぼ毎日つけていた日記帳には 

デイケアセンターやテレビの話題などが

しばらく続いた後 こう書かれていました。

たまさん 来ないかなぁ」 

わたしの訪問を待ちわびる 母の姿がありました。