物知りっつうのは
感謝や感動の少なくなった人のこと
を 言うのかなぁ
中学生の私は、息せき切って玄関を開けた。
「ねえ、ねえ、聞いて聞いて! びっくりするよ!!」
すると、ちゃぶ台でお茶をすすっていた姉が
おもむろに顔を上げ 「なに?」
そのしぐさが あまりにもゆったりだったので
拍子抜けした私は言った。
「姉ちゃん、『びっくりするよ!!』
って聞いてワクワクしないの? 驚かないの?」
すると姉は 物憂い感じで答えた。
「この年になるとね、
びっくりすることなんて なくなるのよ」
その返事に 私は驚いて
「大人になんか なりたくない」と思った。