歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

曇り取り

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ヤスシが免許を取ったことは、聞いていた。

半年も経つので、そろそろいいだろうと 

たまはドライブに付き合った。

 

のらりくらりしているけれど、

まあ 彼なりに なんとか運転していた。

おだやかな天気と 気持ちのいい風に吹かれて、

会話もはずんできた。

 

そのうち 雨が降ってきた。 

どんどん降ってきた。

窓を閉め切ると、

とたんに フロントガラスが曇ってきた。

 

「こまるんだよね、こういうの・・・」 

ヤスシは緊張した面持ちで、

ドアポケットから布きれを取り出すと、

たまに「拭いてくれる?」。

 

言われるままに、せっせと拭いていたけれど、

なんだか変だなとは思っていた。

こいつの車こわれとんのか? 

―― 買ったばっかしやのに。

 

ためしに曇り取りの操作をしてみた。

吹き出し口切り替えダイヤルを「曇り取り」にし、

外気導入に切り換えた。

風量を最大にし、温度も最高に設定した。

 

サーッと 視界が開けてきた。

「うっわ~! すごーい! なに? なにこれ? 

へぇ~! はぁ~!!!」

 

しきりに感心するヤスシ。

乗った たまの こころが曇る・・・・・・・。

 

 

 

おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい

半年も拭いとったんか! おちゃらかほい