ヤスシは朝が弱い。
いつも母親に起こしてもらっているが、
なんとか自力で早起きをしたいものだと願っていた。
通っている教会の牧師に相談すると、
若い人の矯正訓練で行っている方法を教えてくれた。
「とにかく、目覚ましが鳴ったら、
ガバッと体を起こすんです!
そして、すぐに布団をたたむ! それだけです」
肝心なのは、
「どうしよっかな~。 もう少し眠たいな~」
などと考える余地を持たず、
瞬時に行動することらしい。
「ありがとうございます。
さっそく明日の朝から始めます」
牧師に礼を言ったその晩、ヤスシは
「よし! ぜったい自分で起きるぞ!」
と決意して床についた。
ジリリリリリ・・・・・ジリリリリリ・・・・・
ジリリリリリ・・・・・バチャ!
台所にいた スミは、
目覚ましがようやっと止められたので安堵した。
「一人で起きられたかな?」
一方、目覚ましをぶっ叩いたヤスシは、
牧師に言われた通りに ガバッと身を起こした。
布団をたたんだ。 すぐに行動した――
部屋の外へ――ガラガラガラ ドッシーン!!!
「ヤ、ヤスシ! 大丈夫?!」
階段を落っこちたヤスシを
助け起こそうとしたスミは、あきれかえった。
そこには、枕を抱いて
気持ち良さそうに横たわる ヤスシがいた。
おちゃらか おちゃらか おちゃらかほい
おちゃらか ま~だ寝とんのかい! の・ほい!