歌う珈琲屋さん

クラシック歌曲・オーガニック珈琲

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

アファメーション

「私は豊かである。 私は満たされている。 私は美しい。 私は軽やかである。 私は優しい。 私は大らか。 私は賢(かしこ)い。 私は溌剌(はつらつ)としている。 私は・・・」 「母ちゃん、鏡の前で なにやってんの?」と、 タカシが聞いた。 「アファメーショ…

追いつけない

バス停に向かって歩いている途中 おばあちゃんを追い越した すると後ろから 「ねえさん 運動選手ねぇ? あっしゃ 追いつけないさー」 と言いつつ 必死にピッチを上げている様子 え? な、なんで? なんで追いつく必要があるん? 「ユンナーユンナーアッチミ…

運動

バスケットは、「巨人の足元の草」って感じだし、 バレーボールは 手のひらにピシャッ!と当たって痛いし、 水泳は死にものぐるいであがいたあげく、 枯れ枝が岸辺に辿り着くように プールサイドにタッチするし、かけっこは 役員リレーしか出させてもらえな…

子の意志の尊重?

「ねえ、やる? やらないの?」乳幼児健診の会場。 三歳の子にいつまでたってもお伺いを立てている親がいる。三十分から時には健診が終わる頃まで子どもを追っかけ回して「相談」している。親の方ではどうも 子どもの意志を尊重しているつもりらしい。しかし…

「こたえない」という親切

人と会ったら、どうやって楽しませようかというのが、 癖になっていた。 皆が仲良くやっているなら、 本来の静かな自分でいられるのだが、 輪の中にどうしても とけ込めない人がいると、 その人がくつろげるように何かと世話を焼く。 自分でも驚いたことに、…

生きてる人から学ぶ

大好きな先輩の 訃報が入った時 サエコは 愕然としました。 20年ぶりに 会う約束を 交わしていた矢先の事でした。 葬儀に出向くと 大勢の人に また 驚きました。 先輩は 独自の意見を持って 社会改革も 盛んに為していた人でした。 その様子は 離れた地方…

思いは伝わってるよ

亀吉は 息子の太郎が 大学を辞めて 調理師の道に進んだのが 気にくわない。 だから 無口に輪をかけて 太郎を無視してしまう。 そんな亀吉が 好きそうな料理を 太郎は せっせと持ってくる。 「腹一杯だ」 「食いたくない」 と、 太郎の目の前では 決して喜ば…

手動ワイパー

ヤスシは 教会に通って ボランティア活動に精を出している。 今日も、気の毒な「片付けられない人」のために、 出動するという。 「え?あたし?あたしゃ、いいよ。遠慮しとくよ」と、 貴いお仕事を たまは ご辞退申し上げたけれど、 「どうしても 君が必要…

我が子だったら

源蔵は、ダンプカーの運転手をしていた。 普段は無口で大人しい男だが、 ハンドルを握ると 人が変わった。 険しい目つき、乱暴な言葉遣い。 源蔵が最も嫌うのは、ミニバイクの輩(やから)だ。 ちょこまかして、邪魔な奴ら。 やっと追い越したかと思うと、信号…

指おいしい?

お孫さんの癖を、 たいへん賢くコントロールなさった方がいる。 かわいい孫が指をしゃぶろうとすると 「おててバッチイから、きれいにしてこようね」 と、洗面所に連れて行く。 手を洗い終えて部屋に戻り、いざ、チュッチュ。 「指おいしい?」と聞くと、実…

反対履きの靴

保育園の庭先で、親子がもめている。 「もう! また靴を反対に履いて!」と母親。 そこへ園長先生が通りかかった。 「靴がデカいんだよ!」 と一喝。 すぐに成長するからという理由で、 大きいサイズの靴を履かせる親が多い。 第二の心臓 ともいわれる足に対…

自分の作品

チケットをいただいて、 久しぶりに観劇の機会を得た。 親子の絆を描いた一人芝居であるが、 胸に迫るものがあり、素晴らしい出来であった。 その脚本を書いたのは、 かつて地方都市の戯曲大賞を受賞した人である。 舞台化の話があり、 東京からその地方にし…

確定申告

マチコは 役場の人間が 大っ嫌いでした。 公僕と言いながら 人を見下げるような態度 「お上じゃないっつうの!」 こっちは 毎日 必死で稼いでいるというのに 領収書の小さなミスもとりあげて あーだこーだと やかましいったら ありゃしない。 今日も はなっ…

早起き

ツネコは 大事な試験を控えて 夜型生活を 改めようと思いました。 「お母さん、 明日 もし 自分で起きられなかったら お願いね」と 念のため 頼んでおいたのが 運の尽き。 朝、お母さんは ツネコが ちょっと寝返りを打ったとたんに 隣の部屋から 飛んできま…

曇り取り

ヤスシが免許を取ったことは、聞いていた。 半年も経つので、そろそろいいだろうと たまはドライブに付き合った。 のらりくらりしているけれど、 まあ 彼なりに なんとか運転していた。 おだやかな天気と 気持ちのいい風に吹かれて、 会話もはずんできた。 …

親切

停留所をを過ぎたところで バスが停まったので、 どうしたんだろうと窓の外を見ると、 おばあさんが 手を挙げて、 合図しながらやってくる。 時間に追われた都会の人間には、 おそらく 永遠に着かないのではないか と思われるような足取りで・・・。 プシュ…

外食日

コロナ前のお話です。 「斉藤さ~ん。 美味しかったですか~?」 にこにこと 大満足の お年寄りの間を リーダーの クニさんを先頭に ヘルパーさんたちの 明るい声が 飛び交います。 今日は 認知症老人グループホーム 「愛会園」の 月に一度の外食日。 食後の…

ペイ・フォワード

カツコは 島根に住む友人に頼まれて 「紅芋サーターアンダギーミックス」の粉を たんと送ってやりました。 「その種類だけが ここで 手に入らないのよねぇ」 ということでしたが、 カツコ自身も食べたことはありませんでした。 ある日のこと、 大原小学校で…

究極の開き直り

トメは そろそろ見えてきた 自分の行く先が 案じられてなりませんでした。 「 ゆくゆくは 病院にお世話になって それから・・・・・・ 誰も看取る人がいなかったら どうしよう 」 と考えては、 もっと 子孫に尽くしておかねば だの、 お金をあげようか だの…

誰をも恨まじ

カネさんの愚痴は 絶えることがありません。 気の利かない嫁に始まって、 ちっとも訪ねてこない子どもたちのこと、 自分のうわさ話をしている?近所の人たち、 終いには 亡くなった旦那さんの悪口になりました。 付き始めた時は 根気よく話を聞いていた ヘル…

双眼鏡で食べさせろ!

「野菜嫌いなんですよ~」という声をよく聞く。 さて、ここでタイトルにした ある保育園の方法をお話ししよう。 食事のはじめはサラダからにする。 生だけでなく、温野菜も取り入れる。 半分でも、三分の一でもかまわない。 ある程度食べてから、 次のお魚や…

過去を引きずる

トイレのそばに置いてあるベンチで たまは友だちを待っていた。 そこへ、初々しいカップルが、 「じゃ、あとで」なんて言いながら、 それぞれのパートへ入っていった。 しばらくすると、彼女の方が先に出て、 ショーウインドウに映る自分の姿を チェックしな…

肩書無しで遊ぶ

川辺で暮らした事がある。 狸が線路を横切るような場所で、 朝は近くの山に登って、 新しい日を拝みながらお弁当を食べ、 昼は、河原でカヌー遊びに興じ、 バーベキューやらなんやらという贅沢をした。 その環境に憧れて、友だちが友だちを呼び、 訪れる人数…

生活感

初めてわが家を訪れた友人の第一声 「生活しているの?」 一階に二間、二階に二間の ほんに小さな家なれど、 すっきりと片づいていて、 友人にしてみれば 「生活感が無い」ように見えたらしい。 お腹が空いていると言うので、 ざる蕎麦を作ってやったら、 「…

リアシートを取り外した人

しばらく会ってない お友だちのミユちゃんが離婚した という。 それを聞いて、思い出す光景があった。 職場の同僚で 紅葉を見に遠出した時のことだ。 12人が 三台の車に分乗して行く手筈であった。 朝 会社の前に集合すると、 まず 赤いシビックが やって…

自我を超えて

大儀を かざしていても 結局は 自分が 人に どう思われているか 受け入れられているか に 関心があるのではないか だから 意見が 通らないと 自分自身までもが 否定されたように 感じてしまう 自我を越えて 大局を観ることの なんと難しい事か

受売り

玉男は カウンセラーをしている 友だちの修太郎によって 物心両面で支えて貰い 長い鬱状態から 脱することができました。 あれこれ ただで 相談し、 修太郎の前では 殊勝な玉男でしたが、 元気になるにつれて感謝の心が薄れていきました。 かつての 玉男を知…

独立宣言

ナオは 親と離れて 一人暮らしを することにしました。 だけど、 住所変更の手続きや 年金 保険 等のことを考えると、 とてつもなく 面倒で 煩雑で 気後れしてしまいます。 いっそ このまま 親元で ぬくぬくと 扶養されてるほうが 楽なのかしら ? という思…